2017-9-12

アンティーク打掛模様に込められた意味を推理 …

Kyoto Design Factory | カテゴリー: 着物あれこれ

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古来より、幔幕に雅楽が描かれている図柄は多く、一般的に宮中などの花見を描いた
『花宴』(はなのえん)、または錦秋の宮殿で雅楽を聞きながらの紅葉狩りを描いた
『紅葉賀』(もみじのが)が有名ですが、この図柄は幔幕に松と鳳凰が描かれています。
架空の霊獣をメインの図柄にしているので、この図柄は情景描写でないことが解ります。
松は常緑で風雪にも耐え続けることから、未来永劫の繁栄を表す吉祥文様です。
桐は、鳳凰が宿る木として神聖視され、平安時代の頃より天皇の衣類や調度品に
桐や鳳凰の紋様が使われ、桐花紋は菊紋に次ぐ格式ある紋とされました。
ここに描かれている菊はこの場合、天皇家を表しています。
鳳凰は喜ばしいことがあると出現すると古代中国では考えられていました。
とりわけ、徳の高い君子が帝の位につくときには宮廷に鳳凰が飛来するとされ、
日本でも西暦650年にだされた詔(みことのり)に、
「聖王世にいでて天の下を治(しら)す時に、天すなわち応えて其の祥瑞を示す。
所謂(いわゆる)鳳凰・麒麟・白雉・白鳥、かくの如き鳥獣・草木に及び、
しるし応えあるは皆これ天地の生ぜるよき祥(さが)よき瑞(みず)なり」とあり、
鳳凰は聖王が天下を治める時に現れる瑞鳥とされています。
よって、私はこの打掛は生地の状態から見て大正天皇の即位を記念して(祝って)
作られたものだろうと推測しました。
これを作ったのは庶民であることは間違いないのですが、
残る謎は、誰が誰の為に作ったのでしょうか?ということです。

伝統文様研究家 成願義夫